乳がん患者のための栄養セミナー

4月27日(水)、つどいメンバー6人がNutrition & Breast Cancer Education Sessionに参加しました。講師はBC Cancer Agency 乳がん専門の栄養士Cheri Van Pattenさん。

セミナーでは以下の事について学びました。
1. 低脂肪ダイエット
2. エクササイズ
3. 大豆&フラックス
4. 野菜とフルーツ
5. 骨粗鬆症予防

1. 低脂肪ダイエット

*低脂肪ダイエットは乳がんの再発又は新しい乳がんの発生リスクを25%下げるという研究結果がある。
*脂肪から来るデイリーカロリーを20%に押さえる。
*BMI (Body Math Index)を18.5~25BMIの間に保つ。

脂肪摂取量の求め方:
①まずは一日に必要な摂取カロリーを求めます。(赤い文字のリンクをクリック)
必要摂取カロリー

②次に一日に摂ることが出来る脂肪摂取量の上限を計算をします。
例えば、あなたの必要摂取カロリーが1500kcalであれば:
1500 kcal x 0.20=300 kcal (必要摂取カロリー x 20%)
1gの脂肪には9kcalが含まれているので逆算すると:
300 kcal ÷ 9=33g
約33g が一日の限度量の目安となります。
例:卵一個には6g、バター大さじ1に9.7gの脂肪分が含まれているので、朝食に卵一個とパンにバター大さじ1を塗れば、その日の残りの摂取量の上限を17.6 gに押さえればOK。

③脂肪分チェックは食品表示ラベルの『Fat』欄を参考にしたり、このような食品栄養成分表を参考にして下さい。

BMIの求め方
18.5~25BMIの間に保つこと。

2. エクササイズ

*エクササイズを週に3~5時間行うことで乳がんのリスクを下げることができる。
*どんな運動でもかまわないが有酸素運動が望ましい。歩行運動の場合はBrisk Walking(会話が簡単に出来ないくらいのスピード)ですると良いそうです。

エクササイズには次のような効果もあります:
・強い骨と筋肉を作る
・睡眠障害を軽くする
・軽い鬱に効く
・疲れにくくする

3. 大豆とフラックス

この二つの食物にはエストロゲンの働きの真似をする成分Phytoestrogens(ファイトエストロゲン:弱い植物性エストロゲン)が含まれており、今までは、その成分が乳がんに悪影響を与えるのではないかと疑われてきました。

しかし、中国とアメリカで行われていた独立した研究の結果が、昨年、次々と発表され、大豆とフラックスは乳がんに影響を与えることはなく安全に摂取出来るとの結論に至ったそうです。二カ国で行われた五つの独立した研究結果が全部そうだったので信頼性があるとの事でした。

結論として、普通に大豆製品やフラックスを摂取するには全然問題ないそうです。1日に2サービングスが目安。1サービングは:豆乳250ml、豆腐1/2カップ、枝豆3/4カップ。

ただし、大豆サプリメントは今のところ研究されておらず、乳がんへの影響は不明なままなので、避けた方が無難という事でした。

また、フラックスシードは粒のままだとそのまま排出されてしまうので、グラウンドされたものを食べるといいそうです。1日に大さじ1〜2。

4. 野菜とフルーツ

野菜とフルーツにはがん細胞の活動を押さえるという研究結果も出ており、Cheriさんによると、オーガニックを摂る事にこしたことはないが、オーガニックが高いことから野菜やフルーツの摂取を「制限」するより、ノンオーガニックの野菜やフルーツでも、出来るだけ多く摂取した方ががん予防にはいいそうです。

また、Unprocessed(加工されていない)食品を出来るだけ摂取することを心がけたほうがいいともおっしゃってました。それを表現する図式がこちら:
生りんご>アップルソース>アップルジュース>りんごフレーバーの食品
右に行く程加工が加えられて栄養分が失われるので、出来るだけ左よりのものを摂取するようにする。

野菜とフルーツは一日に8サービング(1サービングは1/2カップ)必要だそうです。夕食だけでそれを摂取するのは大変なので、毎食に必ず野菜とフルーツを取り入れると効果的だそうです。

ジューサーは食物繊維を捨ててしまう事になるので、ジュースにするならスムージーのように全部摂取出来るものがお勧め。

食物繊維はお通じに良いだけではなく、体の中の悪い成分を吸収し、排泄してくれるので、とても重要だそうです。こちらを参考にしてください。

5. ホルモン治療による骨粗鬆症を防ぐ為に

骨は髪や皮膚と同じ様に常に新陳代謝されています。この新陳代謝をコントロールするのが女性ではエストロゲン、男性ではテストステロンです。更年期に入ると、このホルモンレベルが下がるので新しい骨が出来にくくなり骨密度が下がってくるのです。ホルモン治療をすると、エストロゲンレベルが下がるので更年期と同じような状態になるので注意が必要です。

骨粗鬆症を防ぐ為には一日1500mgのカルシウム(食物かサプリメント)と1000IUのビタミンD(サプリメント)を摂る事が勧められています。

主なカルシウム源:

牛乳250ml→カルシウム300mg
ヨーグルト175ml→300mg
チーズ50g→390mg
オレンジ一つ→50mg
ブロッコリ250ml→50mg
イワシ(骨つき)→90mg

ビタミンDは骨を強くするだけでなく、がん(乳がん、肺、子宮、大腸その他)になるリスクを下げるという研究結果が出されているため、Canadian Cancer SocietyはビタミンD1000IU/day の摂取を奨励しています。

また、骨は加重(重みをかける)することによって強くなるので、この為にもエクササイズは大切だそうです。

詳しくはCheriさんが書かれたBC Cancer Agencyの小冊子 A Nutrition Guide for Women with Breast Cancer に載っていますのでご覧下さい。

(文:由紀)

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